88で新タイトル次々
 8801で本格的にフロッピーゲームが主体となるのはやはり、光栄が独自の歴史ゲームを出してからだ。

 信長の合戦が全国編となり、1985年にはさらに初代「三国志」が登場した。
 五インチフロッピーディスクが二枚組、PC8801、mkU、SR、FR、MR、TRと6つのタイプの88に対応していた。信長と比べると個々の武将の能力の占める比重が高かった。といっても今ほどではなく、国力などの重要性が高かった。
 さらにマニュアルを見ると、三国の歴史について詳しく説明があるなど、歴史ゲームであるという認識をまだ持っていたようだ。

 ジンギスカンを主役にした「蒼き狼と白き牝鹿」も出た。このゲームはテムジン(ジンギスカン)となり、世界を統一するというスケールの大きいもので、もので、モンゴル編、アジア編、ヨーロッパ編の3段階に分かれ、モンゴルを制覇するとアジア、アジアを制覇するとヨーロッパへと進んでいった。「白き牝鹿」というタイトル通り、オルドに后と入り子を作り後継者とすることもゲームの重要な要素だった。ただシステム的な目新しさはあまりなかった。後には、最初からテムジン以外を選べるようなシリーズも出た。

 さっそうとアートディンク
 フロッピー時代となって新星のように登場したソフトハウスがアートディンクだ。それまでの日本のゲームは従来のボードゲームを少しパソコン向けに改造したものか、光栄信長タイプのように、キャラクター性を戦略ゲームに取り入れたものが主流だったのに、アートディンクは、パズル性を加え、さらにマニアックさを付け加えた。

 その最初のゲームが「A列車で行こう」だった。 5インチのフロッピーわずか1枚、マニュアルもA3判1枚だけ。ひたすら鉄道を引き、客を乗せ、大陸を横断するというゲームだが、すぐに資金不足や資材不足になってしまう。鉄道をつくるという楽しさ、経営の楽しさに加え、どう線路のコースを選ぶかというパズルのおもしろさもあった。

 アートディンクの「地球防衛隊」は、宇宙船(宇宙戦艦)を設計し、自動で戦わせるというもの。戦いの方法までプログラミングさせるという徹底ぶりだった。このゲームは88シリーズでも初期タイプの8801とmkUでは動かなかった。

 シミュレーションでも歴史に基づかず、架空の未来史を元に作られたシミュレーションゲームも現れた。クロスメディア(CROSSMEDHIA)の「S.F.3.D」は2807年の第4次世界大戦がテーマ。装甲戦闘服やDOLLHOUSEなどの部隊同士の戦いで、練度がものをいう世界だった。
 

 ロールプレイングも続々
 このころにはクリスタルソフトのファンタジアンなど本格的なロールプレイングも続々と登場。日本のゲーム界もゲーマもシミュレーションとロールプレイングに二分化していった。

 ファンタジアンはパーティーで戦いもので迷宮の謎も多く、魔法と戦士のバランスなどよくできたゲームで、ウイザードリーなどより興奮させられた。

 短かった黄金時代
 PC8801のフロッピー時代の華やぎは一瞬だった。88が様々な型番に細分化しているうちに、9801が登場。ゲームメーカーもユーザーもより複雑でグラフィックも優れた98に乗り越え、98の黄金時代がすぐにやってきた。